夏のサシェを組み終えてから、日ごとにうつる秋の匂いを嗅いでは、その中のどんな香りなら再現できるか随分いろいろ考えてました。キンモクセイとか、そういう分かりやすくててっとり早い手もないことはないけれども、それは日々そのすがたと香りを変える秋の、ごく一瞬の姿でしかない。何かもっと胸に迫るリアルな秋の香りがあるはず、さてどうしたものか…
と、いろいろ考えて、手持ちの素材の中から選んでみたのがこれらの素材。
材料
- Regent House "Birch Oil Rectified" 0.02ml
Betula alba, 若芽 / 水蒸気蒸留法
- セラピストの問屋 "Ginger" 0.07ml
Zingiber officinalis, 根 / 水蒸気蒸留法
- Euphoria "Frankincense" 0.05ml
Boswellia carterii, 樹脂 / 水蒸気蒸留法
- ease aroma shop "Pine" 0.05ml
Pinus massoniana, 針葉 / 水蒸気蒸留法
- Nature Guidance "Bergamot" 0.05ml
Citrus bergamia, 果皮 / 圧搾法
- Regent House "High Alpine Lavender" 0.05ml
Lavandula angustifolia, 花穂 / 水蒸気蒸留法
- Mothia "Sale Integrale Fino" (海塩) 30g
- Monday Moon "アクアホホバオイル" 10g
(PEG-8 ホホバ油エステルズ、水溶性)
- セラピストの問屋 "マカダミアナッツオイル" 5g
収穫を終えた田畑のあちこちから遠く低く漂ってくる野焼きの香り、パチパチと焚き火のはぜるときの、煙たいんだけれどもついついじっと見入ってしまう赤や黄色の炎の匂い、別に僕らは火の中から産みおとされたわけでもなければ、赤ん坊の時にだって焚き火の匂いをそうそう毎日嗅いでいたわけじゃないだろうのに、どうしてかひどく懐かしさを感じさせてやまない、木々の枯葉や小枝の焼ける匂い。あれを表現できる精油と言えば、もうバーチしかありません。
ただし、分量で 0.02ml と書いたように、ブレンドの際は竹串やつまようじの先にほんのちょっとつけるだけにして、そのあと海塩によく混ぜ込んでください。量が多すぎると、タールのように強いスモーキーさに息苦しくなるばかりか、後々までバーチ臭が浴槽やカラダに残ってしまいます。でもこの匂いの正体はサリチル酸メチル、強い消炎作用があるので、気になる部分があれば浴槽の中で軽擦してみるのもいいかもしれません。
同様にジンジャーはご存じのとおり血行促進効果があり、焚き火にあたった後みたいに全身がぽかぽかしてきます。樹脂系の精油は可能ならミルラのほうがいいように思うのですが、入浴時につかうとどうしても浴槽にこびりつきやすくあとが面倒なので(無精)、無難にフランキンセンスにしてみました。木部の中や樹皮の間に長い時間をかけて貯めこまれ閉じ込められていた樹脂は、火にくべられた瞬間に解き放たれる樹木の記憶。その点では、数か月にわたり夜昼をかけて地下茎に有効成分を静かに蓄えてきたジンジャーと、ちょっと似てますね。
最後に、針葉樹林の静寂を感じさせるタイワンアカマツの針葉の香りと、αピネン&リモネンつながりでベルガモットのきりっとした透明感のある香り、そして高原ラベンダーの上品で抑制の利いた、神秘的な透明感をたたえた香りをブレンドして、秋の朝夕に漂う澄んだ冷気のミストのレイヤーをつくり、スモーキーなバーチやスパイシーなジンジャーのやや癖のあるメインのノートにふわりとかぶせて、はい完成。この季節の乾燥にそなえて、保湿力のあるオイルも配合しておきました。
実はこれとは別に、木酢液や竹酢液を使ったバージョンも考えているのですが、それはまた別の機会に。では、よい日曜日を。